大作曲家とお料理シリーズ第6回目では、『梨の形をした3つの小品』、『犬のためのぷよぷよした前奏曲』等々、とても粋でお洒落なセンスが光る独特なタイトルの作品やミニマル・ミュージックの先駆けとしても知られるエリック・サティについて取り上げさせていただきたいと思います。
今日の札幌は比較的穏やかな朝を迎えましたが2月末日から暴風雪が続き、3月に入った昨日も、地吹雪で時々視界は遮られ、真っ白い世界に閉じ込められてしまったように感じる瞬間もある程で、北海道の冬将軍の底力のようなものを見せつけられたような一日でした。それでも、『3月』という響きは、着実に春の足音が近づいてくるようにも聞こえますよね。
サティは、『健忘症患者の回想録』で、「食べるのは白い物だけ・・・砂糖、削った骨、塩、果物の白かび、綿のサラダと魚を何種類かだが、皮は食べない」と言っていたようです。そこで今回は、白に因んだお料理ということで、とけてしまうと、またしばらくお目にかかれない北海道の真っ白い雪をイメージするようなメニューも加え、鶏肉のクリーム煮をメインに、バゲットのサンドウィッチ(フィリングにバジルとルッコラを使ったので食卓には一層フランス風の香が広がりました。)、スイーツとして牛乳を使った白いプリン、ふわっとあわ雪のような真っ白いシフォンケーキで“白”を表現してみました。
フランスは、畜産などを含む農業部門においても世界の上位10位以内の生産高を誇り、EU最大の農業国と言われますが、鶏肉料理も家庭の食卓によく登場するようです。主食はバゲットが多いようですね。
サティは貧しい時、友人にユーモアを含め「・・・一杯おごってくれる仲間がいるのに、誰もサンドウィッチで腹を膨らませてはくれないんだ。」と言っていたこともあったそうです。
サティの周りには若手音楽家たちが集い、彼が書いた手紙の中には、ラヴェル、ドビュッシー等の名前が出てくるようです。プーランクとは面識のない時から手紙のやり取りもあり、ミヨーは、彼の曲が流れているのを面識をもつ何年も前から、偶然的に聴いていたようですが、若い友人達の中でも彼とは特に最後まで仲が良かったようです。友人宛てのある手紙には、「ミヨーの家で昼食をとった折にオーリック(フランス6人組の一人)と会いました。二人の大音楽家と同席するのは、私の非常な喜びであり、私は二人に対して深い友愛の念を抱いております」という言葉が書かれているようです。
またサティは、そのような親しい友人の一人音楽家のヴァランティーヌ・グロスへは、『ソクラテス』制作中、「・・・白く純粋にしたいこの作品を私はしくじるのではないかと怖くてたまりません。」という心の内を打ち明けていたそうです。作曲の上でも白を求める思いが強かったのでしょうか。(丸山)
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