作曲家と料理のお話 第17回(シベリウス)

いよいよ来週21日、ふきのとうホールにて、札幌コンセルヴァトワール主催の室内楽演奏会が開催されます。
豪華デラックスなプログラムで素敵な夏の夕べをお届けできますことと存じます。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

今回は人気のピアノ曲『樅の木』の作曲者シベリウスの食卓を取り上げます。

シベリウスは伯父の影響からヴァイオリンを好み、ヴァイオリニストを夢見た時期もあったようです。高校生の頃には姉、弟と室内楽のグループを結成し、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど古典派の音楽を中心に演奏していました。

22歳でアイノと結婚した年に、フィンランドに伝わる叙事詩カレワラの発祥地カレリア地方を訪れました。シベリウスは「叙事詩カレワラは音楽そのものだ。主題があり、変奏がある」としカレワラを題材に多くの作品を生み出しました。

カレリア地方の伝統的な料理のひとつにミルク粥をライ麦粉の皮で包んだ料理がありますが、結婚後、家計が苦しい折、妻アイノが作っていた手料理には、麦粥がレパートリーとしてあったようですので、それに因み、主食には麦粥をヘルシーに取り入れてみました。ジャガイモや、豆、ポーク料理なども食卓にのぼったようです。

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シベリウスの妻アイノ

家庭の農園で収穫した野菜を使って温かい家庭料理を用意していたようです。

フィンランドのラスキアイネーンというお祭りの時に食するという豚肉や野菜をたっぷり入れて煮込んだ、えんどう豆のスープ、ジャガイモのオリーブ焼き、フィンランド風ロールキャベツ、グリーンサラダを添えてみました。

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シベリウスは大切な来客がある時、食卓にグリーンサラダが出された時は、サラダドレッシングやドリンクを自分で作ったそうです。

アイノはヤルヴェンパーの新居『アイノラ』の土地を耕し、苦労の末、本格的な耕作まで行うようになりました。農園では、トマト、ジャガイモ、豆などの他、シベリウスが好きだったという林檎も育てたといいます。

経済的に厳しい時期、シベリウスや家族の健康を思い、新鮮な食材を使った心のこもった手料理を用意するために、女性の身でありながら懸命に畑を耕す姿が目に浮かぶようで胸が打たれる思いで、北欧の味を噛み締めていました。

アイノが丹念に育てた林檎の木のようにシベリウスの頭の中には豊かな音符の実が実ったことでしょう。

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ヤルヴェンパーの新居アイノラ