作曲家と料理のお話 第3回(ドビュッシー)

♪焼きりんご♪

フランス人は、優しくて温かい家庭の味を好むと聞きました。
フランスでは、郊外や田舎の一軒家には、りんごの木が植えてあることが多いようです。
(ちなみに音楽院の裏手にもリンゴの木が植えられています。)

音楽院裏側とリンゴの木

音楽院裏に植えられたリンゴの木

ドビュッシーは、20代前半の頃、知り合ったばかりの友人プリモーリ伯爵に宛てた手紙の中で、「私の両親は金持ちではありませんし、高価な夕食代が私には払えません。」と書いていたようです。

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マルセル・バシェ 「クロード・ドビュッシーの肖像」 ドビュッシーがローマ賞を受賞した22歳頃

彼は焼きりんごを好んだと言われていますが(参考文献 千葉真知子著『食べるクラシック』)もしかすると、庭の木になっているりんごの色々な味わいを楽しんでいたのかもしれませんね。

ドビュッシーは交際嫌いでほとんど友人ができなかったと自ら言っていたようですが、焼きりんごの温かくて優しい味は、その孤独な心をあたためてくれ、空腹のお腹も満たしていたのかもしれませんね。

焼きりんごは、フランスでは素朴な家庭の味のようですが、日本ではとてもお洒落で可愛らしいスイーツのイメージがあり、ドビュッシーの『月の光』等を聴きながら、ちょっとリッチな気分で、冬の夕べを静かに過ごすのも素敵ですね。

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ショーソンの前でピアノを弾くドビュッシー

りんごの芯の部分をくり抜いて、カスタードクリームを詰めて焼いた焼きりんごは、りんごの爽やかな酸味と優しい甘さのクリームがお口の中で美しいハーモニーを奏でていました。

ドビュッシーがエルネスト・ショーソンに宛てた手紙に、「私の孤独にはあまりにも多くの思い出が詰まっていて・・・」という言葉が書かれていたようですが、りんごのくり抜いた部分に詰めたふわっとしたカスタードクリームを連想してしまいました。 (丸山)

焼きリンゴ