作曲家と料理のお話 第5回(シューベルト)

シューベルトが15歳の頃、兄に宛てた手紙には「相変わらずお粗末な昼食の後は、8時間半もたってからようやくみじめな夕食にありつける」という言葉が記されていたようです。そしてそれから約4年後の彼の日記によると、その頃、彼は生まれてはじめてお金をもらってワッテロート教授の聖名祝日を記念するドレクスラーの詩によるカンタータを一曲作曲したようですが、その時得た報酬で、何か美味しいものを食べたのでしょうか。

franzschubert

1814~15年頃の若きシューベルト

リード『マス』は、世界的に有名な作曲家アンセルムの部屋で、その弟に献呈するために夜中の12時に書き上げたようです。その時、ポンチなどを一杯傾けながら、もっとお近づきになれたら、という言葉も添え、アンセルムに対しては、「わがコーヒー、ワイン、そしてポンチの仲間」という表現があり、シューベルトは仲間とともによくポンチを楽しんでいたようです。

Die_Forelle

鱒の自筆譜

同じ年の秋、ゼレチュにいたシューベルトのもとにウィーンの友人達からの手紙が届いたとき、彼はちょうど、一頭の牡牛と牝牛の競売に立ち会っていたところだったようです。その手紙の返信の手紙の中で「作曲家であり演奏家であり、演出家であり、その他考えられるあらゆる役割を一人で引き受けなければならないのだ」という言葉が記されていたようです。

Julius_Schmid_Schubertiade

ウィーンで開かれたシューベルティアーデ(シューベルトの友人達が催したサロンコンサート)の様子

多忙な日々を送っていたと思われるその頃、多数のリードを完成させていたようですが、15歳の頃とは違い、好物や美味しいもので食事を楽しんだりしていたのではないでしょうか。
彼は、牛肉を使ったハンガリー料理グラーシュを好んだようです。

今日は、トマトをたっぷり使った牛肉のグラーシュ、マスに見立てて、サーモンのマリネも添えてみました。ビタミンC豊富なレモンのポンチは、寒い季節にぴったりの、体も心もホッと暖まるお飲物でした。手紙や日記からは苦悩も垣間見れるものの、いつも明るかったシューベルトは、ポンチを片手に、仲間と、どんな話に花を咲かせていたのでしょう。(丸山)

image

コメント