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#3656
宮澤功行
モデレーター

≪疾風怒涛の教育 (一所懸命)≫
他の分野と同じくPinoの先生とPianistの生き方も多種多様。
その仕事の形態はA(演奏家として全国各地や世界を飛びまわって仕事をしていくスタイル)とB(都道府県の地域に腰を据え仕事をしていくスタイル)の大きく二つに分かれると思います。
もちろんこの中間Cもあります。
若い頃の私はもちろんAで少し歳を取ってからはC。今はBです。

欧米の音楽家と話していて面白いのは彼らは多民族であり,そのルーツは狩猟民族だと云う事です。
優秀なユダヤ人音楽家でさえジプシー(ロマ)型のマーキングスタイルで教育も演奏もしながら世界各国を渡り歩きます。
私も学生時代はそのスタイルに憧れ自分もそうしたいと頑張っていましたが,直ぐに日本人には矢張り少々無理が在る様に感じられ私は逆の生き方を考える様になりました。
元来,病弱で身体が弱かったのもありますが,ひとつの所で頑張るスタイルを取る決意をしました。
これが札幌コンセルヴァトワールのもう一つの成り立ちの側面です。
一所懸命はやがて一生懸命という漢字になりますが元々はお百姓さんがその土地を動かず(種子から実に成るまでを育て上げていくスタイルの生き方)から誕生した言葉です。

学生を終えた頃は自分を鍛え上げそれなりの立場を築くのに無我夢中でしたからジプシースタイルであらゆる仕事を引き受けてこなし,それが音楽家の生業と思い込み生活をしていました。
それが才能の浪費・体力の消耗につながるとは夢にも思わず,考えもしないで闇雲に頑張っていた時代が結構長く続きました。

やがて札幌に居を構え個人的な音楽教室を始めた頃に出会った音大教授から「宮澤さん種から育てるよりは成った実を美味しく頂く方が簡単で手っ取り早いよ」「学生の演奏に駄目、、、響きが悪い、、、音楽性に問題ありと減点法で問題点を言い続けていたら自分の権威や地位は安泰だし、、、大学に来ない??」等と誘われた時には思わず「ムムムム、、、」と返す言葉を失いました。

桐朋学園大学に入って音楽家として育てて頂いた私は,その他の社会の構造(ヒエラルキー)問題や音大の仕組みの歪みなど知る由もなく社会に飛び出ましたからビックリです。
一瞬にして北海道の音大に進学させる意欲が失せてしまいました。
なぜなら大切に育てた生徒たちを食い散らかされるのは嫌ですし,教授の諸々の発言から育てると云う概念や責任感を全く感じなかったのです。
音大の教授は預かった生徒が伸びないのは「生徒に才能が無いから」「昔の先生の指導が悪かったから」。
結局,教授自身はそれで安泰という図式。

個人でピアノ教室をスタートさせた場合,この図式は全く当て嵌まりません。
生徒がコンクールや入試に落ちた場合「その原因は先生の指導に問題がある場合が多い」のに直ぐ気付かされます。
つまり大学の教授と真逆の考えで無ければ直ぐに倒産、自分自身もつぶれて行きます。当初は反省と自己批判の毎日です、、、。
落ちたり失敗したりを決して生徒や親の責任に回避することなく生徒と一緒に涙し・笑い・怒り、、、の連続。
生徒の演奏の失敗・音楽的な未熟さの一端は自分にありと考えながら今までとは異なる前衛的な音楽解釈で世に打ち出して行きました。
自身が生徒と共育していった懐かしい日々を今でも時折想い出しますがその結果として40数年間,各種コンクールで上位入賞を果たしています。
PTAN指導者賞も34年間連続受賞です。

今日も朝から生徒達とピアノに向かいより優れた演奏と音楽を求めて格闘していましたが創造的な仕事は本当に楽しいです。
今は私にこの様な日々を授け与えて下さったMuses(音楽の神々)に深謝する毎日を送っています。

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