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小林先生、こんばんは。
先生がこれまでにお悩みになった症状を場所別に整理しますと、肩凝り、肘の鈍痛、腕のだるさ、手のだるさ、しびれ、痛み、ということになります。肩から指先までおよそ腕全体に症状が出たことになります。症状が強かった時期は、学生時代と6~7年前の2回のピークがあったようですね。
そしてつけられた病名は少なくとも「頸肩腕症候群」「腱鞘炎」「胸郭出口症候群」でした。
これに対して整形外科と鍼灸院で治療を受けられたということだと思います。整形外科では鍼、電気、温熱、牽引、鎮痛薬の注射、リハビリ、鍼灸院では鍼治療を受けられたということだと思います。手術や特殊な薬物治療は受けておられないようです。
時期的に2つのピークがあるので、大雑把な話にはなりますが、腕全体にわたる症状に苦しまれたことから考えると、先生の場合は首から肩に主な原因があると考えるのが自然だろうと思います。つまりそこに何らかのウィークポイントがあるのでしょう。
1度目の学生時代の時はバイオリンの練習をいつもより増やしたことが原因となったと考えておいでですね。2度目の時はそのような原因については触れられていませんでしたが、やはりバイオリンからみでしょうか?
さて指を操作する筋肉、それを支える肩や背中、お腹の筋肉をある程度つけておくことが、楽器演奏に伴う身体の故障を予防するかということがご質問でした。結論から言うと、はっきりそうだという証拠までは見つけられませんでした。ただ筋トレそのものが健康面で様々なメリットがあるのは明らかですから、もちろんやるにこしたことはありません。肩こりなどには特に有効でしょう。ただ筋トレも演奏同様やり過ぎては逆効果なのでそこは程々にですが。
演奏家に筋肉や骨の問題が多く生じることはよく知られており、多数の研究が報告されています。しかし内容を詳しく見ますと、何を障害と定義するのかという出発点からしてコンセンサスが成立していない状態であり、いろんな人がいろんな考えや数字を述べてはいるけれども、まとまらない状態にあります。
とは言えなんとかまとめようとしてくれた人たちがいますので、その論文からいくつかのことをご紹介したいと思います。演奏家の中でもピアニストのデータが一番豊富なので主にピアニストに関してまとめたものです。(Bragge, 2006)
演奏に関連する筋骨格系障害を患っている演奏家の割合(有病率)は26-93%。別の研究者によれば39-87%、軽症のものを除くと39-47%。
これがあると演奏に関連する筋骨格系障害になりやすいという証明されたリスク因子はない。
証明されてはいないけれども疑われているものとしては、以前に上肢を傷めたことがある、加齢、女性、手が小さい、体型、関節のゆるみ(関節弛緩症)、手の形、姿勢、演奏の技術・癖・習慣(ウォーミングアップ、使いすぎ/疲労、レパートリー、座り方)、自覚するストレスや痛みの強さ、練習スケジュールの変化などです。
まとめますと演奏家の3人に1人以上がこの問題に苦しんでおり、典型的には以前にもこうした問題で悩んだことのある手の小さい女性演奏家がコンサート前などでストレスを抱えつつ練習量を増したりすると、最悪の状態になるイメージです。予防、改善としては上記に挙げたようなものを避けることが役に立つ可能性があると思います。
この手の問題は多くの演奏家が困っているわりに、はっきりとした予防や治療法が確立していない分野であり、発展が望まれますね。

