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kuroneko様、ご質問ありがとうございます。
本番で緊張しすぎてしまい、練習の成果を発揮できないとのお悩みですね。
緊張のマネジメントとしまして、先日のlovepeach様への回答では、リラックスするように体に働きかける(指先を温める)こと、自律訓練法、本番さながらの環境での経験をたくさん積むことをご提案させて頂きました。
体から働きかける方法としてこれに加えるならば、呼吸を意識すること(呼吸法)をお勧めしたいと思います。
人間緊張しますと必ず体に反応がでてきます。心臓がドキドキしたり、瞳孔が開いたり、呼吸が浅く早くなったり色々なことが起きます。基本的にこれらは体が勝手に反応してしまうことであり、意識でどうこうするのは非常に難しいです。これらの変化の中で例外的に自分の意識でコントロールできるのが呼吸です。
普段の生活で、緊張している時、リラックスしている時、眠りに落ちようとしている時、自分がどんな呼吸をしているか観察してみて下さい。そして緊張が高まった時には、リラックスしていい演奏が出来ている時の呼吸を思い出して意識的にそのように呼吸してみて下さい。
さて今までは主に体に働きかける方法を書いてきましたが、視点を変えて心や頭に働きかける方法について考えてみたいと思います。
kuroneko様は「緊張を緩和して、練習の成果を発揮できるようにするにはどうした良いでしょうか?」とお尋ねになりました。この文面からは、kuroneko様にとって本番の演奏は、練習の成果を発揮する場と理解されているように見えます。
そうだとすると、練習中こそ実は100点の演奏ができていて、本番はそこからいかに減点を避けるかが問題となる「減点の場」であるような印象を受けます。もし無意識のうちに本番をこのように理解していたとしますと、本番はいかに減点されないかという消極的なことだけを考える時間となってしまい、非常に強いストレスになるのは当然のように思えます。おそらくこの時、意識は自分に集中しているのではないでしょうか。「自分はうまくひけるだろうか?失敗しないだろうか?」と。
とても根本的なことになりますが、本番とは何なのか、人前で演奏する目的は何なのか、音楽とは何なのか、そういうことを考えてみることが遠回りなようで緊張を緩和する役に立つかもしれません。
宮澤陽子先生が紹介されていた偉大なピアニスト、ルービンシュタインの言葉が示唆に富むと思いましたので引用します。
「若かりし頃の私は音を間違えるチャンピオンでした。でも、聴衆はお金を払った分すべての音符を聴きたいのだと理解したんです。それに気づいてからは猛練習をしました。」
ここではっきりわかるのは、ある時ルービンシュタインは自分ではなくお客さんが見えたということです。もちろんお客さんは最初からずっといたのですが、意識がむいたのです。そしてその時以来、自分のためというより、お客さんのために演奏するようになったのだと思います。
例えば、音楽を聴きに来てくれた聴衆のために演奏を通して自分にできるだけの奉仕をする、本番をそのような場だと考えたらどうでしょうか。自分ではなく、相手を喜ばせることに意識を集中させることができれば、緊張もまた変わってくるのではないでしょうか。
ぜひ演奏技術を磨かれるとともに、よい先生やお仲間とお話をされたり、古今の偉大な音楽家の言葉などに触れて、心にたくさんの宝を蓄えて素晴らしい演奏で人々に喜びを与えてください。それは音楽家にしかできない尊い仕事です。
kuroneko様の演奏が一人でも多くの人に笑顔を届けることを願っています。

