永草寛和さん、アジア国際音楽コンクール 社会人部門で第1位受賞!

札幌コンセルヴァトワールには社会人や定年退職された方々もレッスンに通われています。
以前、最高齢の生徒さんや医師の有田賢さんをご紹介致しましたが、本日ご紹介させて頂く生徒さんは金融機関勤務の永草寛和さんです。

永草&山下

永草さんは今月1日に東京で行われたアジア国際音楽コンクールの社会人部門で第一位を受賞致しました。また、2月に行われた第6回コンクールシューレ ピアノグランミューズ②部門では最優秀賞、及び北海道知事賞も受賞しています。

金融マンとしてお忙しい日々をお過ごしの永草さんにピアノとの関わりやレッスンのこと、今後の予定等、色々とお話を伺ってみました。

1、現在のご職業を教えて下さい。

金融機関勤務です。所謂普通の会社員です。全国転勤がある職場で、これまで東京→函館→札幌と異動を経験しました。札幌は地元でして昨年4月から勤務しておりますが、またいずれ札幌を離れなくてはならないときが来ます。コンセルヴァトワールには、お世話になれるうちにたくさんお世話になろうと思っております。

2、コンセルヴァトワールにはいつ頃から通われていましたか?師事されている山下先生のレッスンはどのようなものでしょうか?

5歳からピアノを習い始めましたが、コンセルヴァトワールは確か小学校3年生頃から通い始めたと記憶しております。実家が石狩市でしたので、毎週土曜日は約1時間かけて澄川まで通っていました。山下先生は、当時から言われていたと記憶していますが、大変 厳しい先生だと感じておりました。

レッスンでは、練習曲としてチェルニー、クラーマー=ビューローをまず 厳しく見てもらい、あとは並行してバッハ、ハイドン、ベートーヴェンを習ったと思います。ショパンやシューマンのようなロマン派の曲もいくつかはやりましたが、うまく弾けた記憶がなく、向いてないと思われたのか(笑)たくさんはやっていない気がします。
受験があったので、中学3年になったところで通うのを中断してしまったのですが、今思えば、高校に入っても少しでもピアノを続けていればよかったとつくづく思います。ショパンなどのロマン派や近現代の曲をほとんどやらないまま時間が経ってしまったので、大人になって再開してから、この辺りの時代の曲に譜読みも技術も大変苦労しています。ショパンのエチュ
ードも昨年初めて 挑戦しましたが、手や腕の使い方等、大変苦労しました。今も苦労しています。一方で、バロックや古典は山下先生から厳しく習っていたせいか、大人になってから取り組むこと自体に苦労はなく、技術的には相変わらず苦労していますが、譜読みや全体をつかむようなことには、少なくともロマン派以降の曲を取り組むときほど苦労はしていないです。これも先生のおかげと思っています。

現在は、札幌にいるご縁もあり、昨年4月から再び山下先生に習っておりますが、今はPTNA等のコンクールで準備する曲を色々と自分でさらって、診てもらっています。
最後にレッスンしていただいて から、15年以上経っていますが、先生のレッスンでの厳しさは健在です(笑)。でも、昔より ジョークやウィットに富んだ指摘が多くて、レッスンは毎回楽しいです(笑)。レッスン風景

3.アジア国際コンクールを受けたきっかけを教えてください。また、コンクールでは何を演奏されたのでしょうか?

東京にいた時、一度受けたことがあったのですが、今回は雑誌の「ショパン」に掲載されているのを見て応募しました。理由は、本選の会場が上野学園大学の石橋メモリアルホールだったからです。以前、私の家内が都内で開催されたあるコンクールの本選で石橋メモリアルホールで弾いたことがあり、ピアノがとても弾きやすく、会場の響きも大変素晴らしいと言っていたので、自分も何かで弾ける機会がないかと思っていたところでコンクールを知りました。
予選(予備審査)は音源審査でしたので、札幌にいながら受けることができ、本選に進むことになりました。

コンクールでは予備審査の音源として、ベートーヴェンのソナタ27番の1楽章とサン=サーンスのアレグロ・アパッショナートを録音して提出しました。本選では、時間の制約があり、アレグロ・アパッショナートのみ演奏しました。実際、本当に素晴らしいピアノとホールで、演奏は傷が多くて正直納得できるものではなかった ですが、大変いい経験をさせていただきました。

 4.お仕事をされながら、練習やコンクールの準備は大変だと思いますが、普段はどれくらい練習されますか?

平日は、平均すれば約1時間程度と思います。また、これを目標にしています。残業が続いたり、体調があまりよくないときは仕事から帰った夜に練習が進まないので、毎朝、出勤前の10分~最大30分 程度、時間の許す限り必ずさらっています。休日は、本当は一日中練習すべきとところでしょうが、実際は3時間程度でしょうか。平日には練習できないような、普段から弾けない箇所の練習や、ゆっくりさらったりなど、集中力が続く間はやっています。
ちなみに、楽器は、転勤族なので戸建やマンションは持てないため、いつどこに異動になっても大丈夫なように電子ピアノです。週末に実家に帰ってたまにピアノで練習しております。
5.今後はどういう作品に取り組んでみたいですか?また今後の演奏予定があればお知らせください。
元々、先生のご指導もあって、バロックや古典は好きなので、これからも自分で色々とやっていくと思います。バッハのパルティータ、ベートーヴェンの後期のソナタは、近いうちにやり始めたいと思っております。また、苦手なロマン派以降にもなんとか弾ける作品を持ちたくて、最近やってみたいと思っているのは、メンデルスゾーン の「厳格な変奏曲」(通称厳バリ)ですね。近現代では、取り掛かり始めているラフマニノフの楽興の時を続けていきたいですね。
東京にいたときから、国内外で毎年なんらかの大人向けのコンクール(国際アマチュアピアノコンクール、PTNAグランミューズ、パリアマコン、シカゴアマコンなど)にチャレンジしてきましたが、札幌にいてもいくつかチャレンジ しています。
今年は、アジア国際音楽コンクールの前には2月に「情熱の日・芸術祭」の「コンクール シューレ」にもチャレンジしました。あとは、夏のグランミューズに再びチャレンジする予定です。コンクール以外では、今秋に東京で知り合った方(コンセル出身のアマチュアの方:腕前はアマチュアではないレベルですが)と初めてジョイントリサイタルを計画しております。
足を引っ張らないように準備したいと思っています(汗)。
あとは、先日PTNAステップでステーションの先生からコンチェルトのお誘いをいただき、来年5月にバッハのd-mollのコンチェルトの終楽章を弾かせていただく予定です。
ピアノトリオすらやったことがない自分にはソロでも手一杯ですが、バッハのコンチェルトは子どもの頃から 好きな曲なので、コンペシーズンがひと段落したら、譜読みを頑張りたいと思います。
6.ピアノを続けていて良かったと思うことを教えて下さい。
 社会人になると、自分の時間の大半が勤務時間になるので、その前後わずかな時間、休日(休日は幸い暦どおりなのには助かっていますが)に仕事を完全に忘れて集中できるものがあることが、自分の生活のメリハリになっています。社会人3年目のときに、色々あって体調を崩してしまい、思うように会社に行けない時がありましたが、その頃もピアノが自分の支えとなっていました。
また、東京でピアノを再開し、国内外の社会人向けのコンクール等に参加して、自分と同じように音楽と関係ない仕事を しながらピアノ弾いている方々がたくさんいらっしゃって、知り合いが増えたことでいい刺激になっています。
演奏を聴いていると、「どうしてプロにならなかったのだろう」と思ってしまうような方々もいらっしゃいます。世界は広い、とつくづく感じます。
一つ一つの質問に大変丁寧にお答え頂きました。ご趣味でピアノを続けられている方にとっても、参考になる点が沢山あるかと思いましたので、ほぼ全文を掲載致しました。
永草さんはアマチュアのピアノコンクールも沢山受けていらっしゃいますので、その辺りのお話もまた折を見て伺いたいと思っています。

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