作曲家と料理のお話 第2回(ショパン)

作曲家と料理のお話 第2回はピアノの詩人ショパンと恋人ジョルジュ・サンドのマジョルカ島でのお話です。

ショパンがジョルジュ・サンド一家と共にマヨルカ島のパルマで冬を過ごすために、パリを発ち、一足先に出発していたサンド達と国境近くのペルピニャンで合流した際には、サンドが友人に宛てた手紙によると、ショパンは「バラの花のように生き生きとしており、ビートの根のようにピンクで、—しかも上々の健康です。」「私達は皆とても元気です。」と書かれていたようです。さらに「私達の航海は幸先よく、ことわざに『素晴らしいお天気』でという通りにはじまっています。暖かいし・・・」ショパンのために快適な気候と休息を求め、希望に満ちた旅がはじまりますが、パルマ港に降りたった時の感動と喜びも束の間、サンドは「宿泊先が見つからないという問題で頭が一杯になった」そうです。ショパンがパルマからフォンターナに送った手紙には、「椰子、ヒマラヤ杉、サボテン、オリーブ、オレンジ、レモン・・・等々にかこまれて。トルコ石のような空、ルリのような海、エメラルドのような山、天国のような空気、終日太陽は輝き、皆、夏の装いで歩いている、暑いのです。」などと豊かで美しい自然や温暖な気候等の様子を伝えていたようです。

マヨルカ島

マヨルカ島

しかし、間もなく雨期が訪れ、ショパンは体調を崩しはじめたようです。ショパンは豚脂を胃が受け付けない時は食事が困難であり、彼はサンド達の手で食事を準備しないときは病気になってしまう、とサンドは言っていたようです。
サンドのたっぷりの野菜や、消化の良い白身の魚を使った手作りのポトフは、きっとショパンの心と体を温めたことと思います。

ChopinSandDelacroix

ドラクロワ作 ショパンとサンド

また、サンドは、とりの胸肉を好んだショパンのために、20種のハーブを使用したチキン料理を振る舞ったというエピソードに基づいて、とり胸肉のローストチキン(ハーブの種類数は公表出来ません。・゜・(ノД`)・゜・。)を、オリーブオイルとレモン汁ベースのソースでいただきました。サンドによるとパルデモサの山中でも、素晴らしいレモンとオレンジがなったようです。ショパンは作曲しながらそれらを真近で目にし、香りを楽しんでいたのでは、と想像しながら、ほんの少しその雰囲気に浸ることができました。ここで、ピアノの演奏もあると最高の気分を味わえるのではないかと思いました。(丸山)

ショパン 食

ショパンの食卓の再現イメージ