作曲家の食にまつわるお話を折に触れて取り上げさせていただきたいと思います。その第1回目として音楽の父、バッハについてご紹介させていただきたいと思います。
バッハがハンブルクからリューネブルクへの帰途、無一文で飢えて宿屋の前に立っていると、その窓から鯡の頭がいくつか街道に投げられ、それを拾いあげてみると、それぞれに金貨が入っていて、それでもう一度ハンブルクとリューネブルクを往復することができたという逸話が残されていますが、この時、彼はローストミートも食べることができ、空腹を満たすことができたといわれたようです。
バッハのこの有名なエピソードに因んで、昨日は、その時の彼の口の中に広がったであろう味わいを少しでも感じてみたいと思い、ローストミートを自分なりにドイツ風に料理して、いただいてみました。
バッハは少年時代、両親亡き後、引き取って世話してくれていた兄の元を離れ、リューネブルクのミカエル修道院の学校に給費生として採用され、まもなく変声期が訪れヴァイオリニストとして席を置いていたようです。
当時バッハはオルガンの巨匠ラインケンの演奏を聴くため、また、オペラを見るために、たびたびリューネブルクからハンブルクへ旅していたようです。
この頃から、彼は、お気に入りだった楽器、オルガンに触れる機会が増え、ますます身を入れていったのではないかと思います。苦難に耐えながらも好きな音楽のために旅した帰り道、疲労と空腹で一歩も先に進めなくってしまった時、天から授けられた恵みによって口にすることができたお肉の味はどんなものだったのでしょうか。
いつか作曲家ゆかりのお料理を持ち寄って生徒さん達がその作曲家の作品を演奏するというアットホームなパーティーを企画できる機会がありましたら良いと思っております。 (丸山)